
ネットショップを始める際には、法律の知識も外せません。
後になってから「知らなかった…」では済まされないので、法律を遵守するのは当然です。商品の種類によっては事前の許可申請が必要だったり、ショップのページ上で必ず記載すべき事項があったり、事前に確認すべきルールは多く存在します。
このページでは、そうした必要な届け出や法律だけでなく、困ったり迷ったりした際に役立つ情報もご紹介しています。
法律と向き合う時に大切なのは「調べる」「確認する」「相談する」ことです。
・売りたい商品に必要な手続きがないか
・法律に違反していることがないか
事前に法律や手続きに対する知識と心構えを持って準備することが、ネットショップ事業成功への近道になります。
法律は特に知らなかったではすまされないので、事業の余計なリスクを減らすために、自社の商品に関わる部分だけでも、一通り目を通しておいてください。
一度許可をとったからOKではなく、変更にもしっかり対応し、違反がないように気をつけてください。
許可申請が必要な商材とは?
中古品
「中古品」とは、
1.すでに使用されたもの
2.未使用でも一度消費者の手に渡ったもの
3.メンテナンスされたもの
に当てはまる商品をのことを指し、販売には古物商の免許を取得する必要があります。ただし、自分の家使用したものを売る場合は必要ありません。
許可申請は管轄の警察署で行います。
警察署でもらえる申請書や誓約書の提出と、・登記事項証明書・身分証明書・経歴書・賃貸契約書の写しなどが必要です。
古物商許可の取扱品目は以下の13品目です。
当てはまる商品を販売する方は許可申請を忘れずに。
衣類 | 洋服や着物などの衣料品 |
機械工具類 | 工作機械や工具、ゲーム機などの機械も含む |
金券類 | デパートの商品券や新幹線の回数券など |
事務機器類 | コピー機やFAXのほか、パソコンなど事務機器 |
時計・宝飾品類 | 時計や宝飾品、貴金属類など、主に身に着けられる高価なもの |
自転車 | 自転車本体とパーツ部分も含む |
自動車 | 車本体だけでなく、パーツや部品なども含む |
自動二輪車・原動機つき自転車 | バイク本体のほかパーツや部品なども含む |
写真機類 | カメラや望遠鏡など、レンズがついた光学器など |
書籍 | 本 |
道具類 | 家具や楽器、記録媒体(たとえばSDカードとか)、CDやDVD、ゲームのソフトなども含まれる |
皮革、ゴム製品類13 | カバンなど皮を作って作られたもの |
美術品類 | 書画、彫刻などといった美術的価値が高いもの |
食品
ネットショップで食品を販売する場合、加工食品を仕入れてそのまま販売するときには許可申請は必要ありません。自分で加工した食品や肉・魚などを販売する場合には「食品営業法に基づく営業許可」が必要になります。
例えば、自家製のパンやお菓子をネットで販売したいという場合は、営業許可を取得しておかないと法律違反になります。
食品営業法に基づく営業許可は、ネットショップの所在地がある管轄保健所に申請しますが、営業の種類や管轄する都道府県などにより基準が異なるので、まずは最寄りの保健所に問い合わせてみてください。
食品営業法に基づく営業許可の申請には、営業施設が基準に適合していること、また必要書類が揃っていること、そして「食品衛生責任者」がいることが必要です。「食品衛生責任者」は食品の製造・販売や飲食店など食品に関わる業務を管理するために必要な資格です。
食品衛生責任者は、保健所で6時間ほどの講習を受講すると取得可能な資格です。ただし、栄養士・調理師・製菓調理師・食鳥処理衛生管理者・船舶料理士・食品衛生管理者の資格を有する人は講習を受けなくても食品衛生責任者になれます。
【営業許可が必要な業種】
飲食店や喫茶店営業などの調理業
菓子やパン類、食肉や惣菜類などを製造する製造業
食肉や魚介類、乳類などを販売する販売業
食肉や魚介類、乳類などを処理する処理業
酒類
ネットショップでお酒を取り扱う場合は「通信販売酒類小売業免許」が必要になります。
コンビニエンスストアや酒屋など、販売所を構えた状態ですべての品目のお酒を小売りしたい場合は「一般酒類小売業販売免許」という免許が必要になりますが2006年の法改正で「通信販売酒類小売業免許」を取得すれば、ネットショップ専業でもお酒の販売が可能になりました。
「通信販売酒類小売業免許」とは、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として、商品の内容・販売価格その他の条件をインターネット・カタログを送付する等によりメール・インターネット・郵便、電話その他の通信手段により酒類を小売する場合に限定した免許です。
基本的に一般的に流通しているお酒を取り扱うことはできず、アルコール度が1%以上のものが対象で、ネット通販で販売できる酒類は通常購入することができない地酒や焼酎、ワイン、輸入酒類に限られています。
通信販売酒類小売業免許を申請する場所は、ネットショップの所在地がある所轄の税務署になります。
医薬品
2016年6月よりネットショップでも医薬品を取り扱えるようになりましたが、ネット通販で医薬品を販売するには、実店舗を有する、薬局の許可をもった販売業者であることが前提条件となります。
医薬品は医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品に分けられ、その中でも一般用医薬品は副作用などのリスクによって「第一類医薬品」、「第二類医薬品」、「第三類医薬品」の3種類に分類されます。
第一類医薬品の販売は、薬剤師のみ行うことができます。第二類医薬品、第三類医薬品は、薬剤師または登録販売者が販売することができます。
ネットでの販売には、薬局開設許可、医療品販売許可、特定販売(インターネット販売許可)が必要となり、申請先は所轄の保健所、各都道府県の保健局になります。
許可取得だけでなく、ネットショップのトップページには店舗の名称を表示し、実店舗の写真を掲載するなど、細かいルールが多数あるので、詳しくは政府広報オンラインの「医薬品のネット販売を安心して利用するために」をご確認ください。
化粧品
まず、化粧品を商品として取り扱う際には、薬機法の知識が必要になります。
これまで化粧品に関するルールを定めた法律は医薬品と同じ薬事法でしたが、2014年に改正され「薬機法(医薬品医療機器等法)」(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)となりました。
薬機法の「化粧品」とは、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」のことを指します。
「化粧品」は「化粧品」と「薬用化粧品」に分けられ、「薬用化粧品」は「医薬部外品」になります。製造に関わるか関わらないか、自社の製品として出荷するかしないかにより許可申請が異なります。
【許認申請が不要】
化粧品の製造には関与していない。製造許可や製造販売許可を取得している業者から化粧品を仕入れて販売する場合。
【許認可が必要】
化粧品を自社で製造し、化粧品製造販売業許可のある他社で販売する場合。
化粧品:「化粧品製造業許可」
薬用化粧品:「医薬部外品製造業許可」
化粧品を自社で製造し、販売も自社で行う場合。
化粧品:「化粧品製造販売業許可」
薬用化粧品:「医薬部外品製造販売業許可」
自社の製品として出荷するが、製造は化粧品製造業許可を有する他社に委託する場合。
化粧品:「化粧品製造販売業許可」
薬用化粧品:「医薬部外品製造販売業許可」
申請先は所轄の保健所、各都道府県の薬事課となります。
ペット類
ペット=特定の愛護動物(犬、猫等、及び人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの)を取り扱う場合は、動物愛護管理法の規制を受けます。
【許可申請が不要】
魚類、昆虫類を取り扱う場合。
取扱品目がペット用品、ペットのえさの場合。
【許可申請が必要】
取扱品目が哺乳類、鳥類、爬虫類などの動物(畜産動物や実験動物・産業動物を除く)であって、販売や保管、貸出や訓練、展示などを業として行う場合。
営利を目的として行う場合は「第一種動物取扱業」、非営利の活動により行う場合「第二種動物取扱業」の許認可が必要です。
登録後、事業所ごとに「動物取扱責任者」を常勤職員の中から1名以上配置しなければなりません。
申請先はネットショップ所在地の都道府県知事または政令指定都市市長宛塔ですが、申請先は各都道府県により異なるので、登録地の管轄を事前に確認してください。
輸入品を取り扱う場合の許可申請
海外から輸入した商品をネットショップで販売する場合には注意が必要です。自由に販売できる商品と、許可申請が必要な商品があります。
商品によっては規制の厳しいものもあり、国内の商品を扱うよりも許可申請のハードルが高くなります。
特に「人の口に入るもの、口に触れるもの」は、何かしらの規制を受けると考えてください。例えば食品なら、食品衛生法に基づき「食品等輸入届出」が必要になります。
食品(食品一般・果物・穀物)
食品の輸入には審査や検査等が義務づけられています。
個人消費の場合は届出や検査は免除されますが、輸入量が多い場合などは、税関が輸入者に対して確認を求める場合があります。
※個人輸入とみなされる量の目安は10kg程度。
【関連する法律】
【管轄所】
食品(精肉・食肉加工品)
精肉・食肉加工品の輸入時には「家畜伝染病予防法」に基づく検疫が行われます。検疫の際には、輸出国の「検疫証明書」が必要です。
【関連する法律】
【管轄所】
植物(植物・果物・ドライフラワー)
植物・果物の輸入時には、「植物防疫法」に基づく検疫が行われます。
検疫の際には、輸出国の「輸出国の検疫証明書」が必要です。
【関連する法律】
【管轄所】
食品が触れる食器など
食品が直接触れる食器(食器、スプーン・フォーク・ストロー等)の輸入の際には「食品衛生法」に基づく検査が必要です。
【関連する法律】
【管轄所】
酒類
ビールや洋酒を輸入する場合は、「食品衛生法」に基づく検査が必要です。
また、検査の際には「食品等輸入届出書」の提出が必要になります。
動植物
植物や動物を輸入する場合は、病原体や有害物質に汚染されていないかを調べる検疫手続きが必要です。
また、動植物の輸入はワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の規制を受けます。ワシントン条約では、生きている動植物だけでなく、原材料とする加工品も対象です。
例えば、動物の毛などを含むぬいぐるみや毛皮などは、ワシントン条約で禁止されているものの場合は輸入できません。植物や虫などウィルスなどが付着したり繁殖したりする可能性があるものも規制の対処になります。
【許可・申請が必要なものの例】
・花やドライフラワー
・植物や植物の種
・ペットなどの小動物
・昆虫や環境用の魚
このように、輸入品にはさまざまな規制や許可が必要になります。
不安な場合は、事前に税関に問い合わせたり、専門家などに相談することをお勧めします。